秋咲きの東洋蘭

                     虎の門元興銀ロビーでの展示会


 寒蘭の良さは、線の美しさ、色の美しさ(味わい)、そして総合の美だと思います。また、微風に漂う、あのふくよかな香りも最高です。外弁は左右対照に、バランスが良く、一文字咲きは力強く男性的で、三角咲き・ふんばり咲きは優雅に女性的で、内弁は芯柱をそっと包み、やや恥じらしさを見せます。外弁の外に向かった線と、丸い舌の対比は特に素晴らしく、自然が生み出した最高傑作で、深遠な魅力を秘め、幽玄の域に我々を陶酔させてくれます。また、常緑で光沢のある葉姿の線は本当に味わい深いものです。立葉は天をつく強さを、垂れ葉は円熟した舞妓の如き優雅さを、露受け葉は宇宙の彼方への広がりを感じさせます。
  寒蘭の花色には、原色に近い鮮明な色彩のものはほとんどなく、表現のしにくい色が多く、作により変化しますが、どちらが良いかではなく、それぞれに古陶の如き味わいがあり、底知れぬ深さがあります。
  鉢は履物であり、葉は着物であり、花は顔であります。どこがまずくても真の美人とは云えませんね。均整のとれた、きりっと引き締まった感じの美人、優雅で気品のあふれた美人、それは蘭子?、名花とは”東洋的美人”と言えるのではではないでしょうか。


  今年は、気象のせいでしょうか。寒蘭の花が良く咲いてくれました。不思議というか、それが当然なのかもしれませんが、高価な名品がどうもうまく咲いてくれません。それでも、30鉢位花が良く伸びてくれましたので、相模原市上鶴間の郵便局で、久しぶり展示会を開きました。
 割と皆さん良く鑑賞して下さるのですが、木や花よりも鉢の方を誉めて下さるので、培養家としては一寸淋しいのです。「馬子にも衣装」ということでしょうかね。
丸 姫  白 鳳